300円ショップ
2012.03.15 Thursday
先日、カールちゃんとお茶をしました。
場所は、オープンしたてのショッピングモール。建設当初から気になっていたので、ではそこで落ち合おうということに。
わたしは初めて、カールちゃんは2度目です。
外から見ても広いそのモールは、中に入るともっと広さを感じました。奥のつき当たりが見えないくらいです。洋服、バッグ、雑貨。フードコーナーはもちろんのこと、家電、映画館、銀行の店舗まで入っています。
無いものは無いというくらいの品揃えでした。
わたしはずっと目を丸くして歩いていました。
最近はこういう複合施設が増えましたね。
昔は、奥さんが服を見ているあいだ、ご主人が所在なさげにベンチに座っている、という光景をよく見かけましたが、最近は少なくなりました。
「じゃあ俺は本屋で本を探しているよ」
「ボクは友達と、映画館でポケモンを観る」
なんて、それぞれの時間を過ごすことができるようになったからでしょう。
便利になりました。
面白かったのは、300円ショップ。
よく100円ショップというのがありますが、それの300円版です。
狭いスペースに、よくセレクトされた品物が並んでいて、お客さんがいろいろ手に取っていました。ナチュラル・ベーシックとでもいうのでしょうか、生成りの布やレースを使った、やさしい雰囲気のリビング用品、キッチン用品、アクセサリパーツ。レジャーバッグ、スカーフホルダー、カーテンレールまでありました。
300円という価格のため、品質はそこそこ良く、値ごろ感もあります。
カールちゃんとこれがかわいい、あれはセットになっていておしゃれ、などと言いながら、楽しく悩みました。
わたしの戦利品は、陶器の小物入れ。切り株の形をしていて、上の切り口の年輪が、蓋になっています。
ちょうどようじ入れを探していたので、これにしました。
「ようじでしょう? 入るかなあ?」
カールちゃんは疑わしげ。
「大丈夫よ、入るわよ」
とわたし。
「蓋が閉まらないんじゃないかしら?」
陶器は高さが5センチくらいです。
「もしかしたら、ようじの頭がはみ出てしまう?」
「たぶん」
「うーん」
「それもそうね」
と一度は棚に戻したわたしですが、
「ま、そうなったら、そうなった時のことで」
かわいさに目がくらんで、買ってしまいました。
(案の定、蓋は閉まりませんでした。でもちゃんとようじ入れにしてますよ! 蓋ははずしているけど……)
カールちゃんの戦利品は、ティーポットと、雑貨をいくつか。いい買い物ができた、とうれしそうでした。
きっと忙しい家事の合間に、お茶をいれてくつろぐのでしょう。
そうそう、すてきなバッグも買っていました。手ごろな大きさで、里帰りの1泊旅行にぴったりでした。
結局、1日ですべてを回りきることはできませんでした。
「また次の機会に」
「並んでいたカフェ、今度行きたいね」
両手に戦利品のつまった袋を下げて、2人で建物を後にしました。
モールは、暗くなっても客足がとだえることはありませんでした。
帰っていく人もいましたが、同じくらい、夕飯を食べにくる家族連れや、夕飯の材料を買いにきた仕事帰りの人が、入ってきていました。
外の広場では、なにか出し物をしているのか、人垣ができていました。
等間隔の街灯が、新しい人気スポットになったモールへの道を、明るく誘導していました。
場所は、オープンしたてのショッピングモール。建設当初から気になっていたので、ではそこで落ち合おうということに。
わたしは初めて、カールちゃんは2度目です。
外から見ても広いそのモールは、中に入るともっと広さを感じました。奥のつき当たりが見えないくらいです。洋服、バッグ、雑貨。フードコーナーはもちろんのこと、家電、映画館、銀行の店舗まで入っています。
無いものは無いというくらいの品揃えでした。
わたしはずっと目を丸くして歩いていました。
最近はこういう複合施設が増えましたね。
昔は、奥さんが服を見ているあいだ、ご主人が所在なさげにベンチに座っている、という光景をよく見かけましたが、最近は少なくなりました。
「じゃあ俺は本屋で本を探しているよ」
「ボクは友達と、映画館でポケモンを観る」
なんて、それぞれの時間を過ごすことができるようになったからでしょう。
便利になりました。
面白かったのは、300円ショップ。
よく100円ショップというのがありますが、それの300円版です。
狭いスペースに、よくセレクトされた品物が並んでいて、お客さんがいろいろ手に取っていました。ナチュラル・ベーシックとでもいうのでしょうか、生成りの布やレースを使った、やさしい雰囲気のリビング用品、キッチン用品、アクセサリパーツ。レジャーバッグ、スカーフホルダー、カーテンレールまでありました。
300円という価格のため、品質はそこそこ良く、値ごろ感もあります。
カールちゃんとこれがかわいい、あれはセットになっていておしゃれ、などと言いながら、楽しく悩みました。
わたしの戦利品は、陶器の小物入れ。切り株の形をしていて、上の切り口の年輪が、蓋になっています。
ちょうどようじ入れを探していたので、これにしました。
「ようじでしょう? 入るかなあ?」
カールちゃんは疑わしげ。
「大丈夫よ、入るわよ」
とわたし。
「蓋が閉まらないんじゃないかしら?」
陶器は高さが5センチくらいです。
「もしかしたら、ようじの頭がはみ出てしまう?」
「たぶん」
「うーん」
「それもそうね」
と一度は棚に戻したわたしですが、
「ま、そうなったら、そうなった時のことで」
かわいさに目がくらんで、買ってしまいました。
(案の定、蓋は閉まりませんでした。でもちゃんとようじ入れにしてますよ! 蓋ははずしているけど……)
カールちゃんの戦利品は、ティーポットと、雑貨をいくつか。いい買い物ができた、とうれしそうでした。
きっと忙しい家事の合間に、お茶をいれてくつろぐのでしょう。
そうそう、すてきなバッグも買っていました。手ごろな大きさで、里帰りの1泊旅行にぴったりでした。
結局、1日ですべてを回りきることはできませんでした。
「また次の機会に」
「並んでいたカフェ、今度行きたいね」
両手に戦利品のつまった袋を下げて、2人で建物を後にしました。
モールは、暗くなっても客足がとだえることはありませんでした。
帰っていく人もいましたが、同じくらい、夕飯を食べにくる家族連れや、夕飯の材料を買いにきた仕事帰りの人が、入ってきていました。
外の広場では、なにか出し物をしているのか、人垣ができていました。
等間隔の街灯が、新しい人気スポットになったモールへの道を、明るく誘導していました。
JUGEMテーマ:買ったもの
2010クリスマス(5)銀座
2011.05.30 Monday
飲み会の場所は、銀座ファイブの地下1階、ラ・スコール。ぎりぎりに着いたので、みんな集まっているかと思ったら、幹事のKさんだけがぽつんと座っていました。
「あら? 他のみんなは?」
「まだなんですよ」
時計を見ると、19時になるところです。
「時間、合ってるわよね?」
「まったくなにやってるんでしょうね。土曜日だってのに」
「みんな仕事?」
「いや、そんなはずは」
まあいいや、どんどん始めてしまいましょうか、と勝手に注文を始めるわたし達。そうこうするうちに、仲間がばらばらと到着してきました。やあやあお久しぶり。注文のピッチも上がります。
ラ・スコールはベトナム料理を出すレストラン。ベトナム料理が初めてのわたしは、メニューの説明を読みながら、ふむおいしそうとつぶやいたり、眉をひそめてみたり。
「フォーって、聞いたことあるわ」
「美味いですよ」
「おすすめは?」
「パクチー・サラダ。俺、ひとりで1皿いけます」
「パ、パクチー!?」
わたしはパクチーが大の苦手です。
「大丈夫さ」ととなりで栗栖さんが明るく力づけました。
「香菜だと思えばいいんだよ」
「ああ、そうね……って、同じじゃん!」
パクチーだめなのよー、と泣きをいれていると、
「大丈夫」とまた栗栖さん。
「コリアンダーだと思えば」
「そっか……いや、それも同じじゃん!」
久しぶりに会うメンバーです。お互いの近況報告に花が咲きます。
わたしは耳を傾けながら、どうしようかな、ともじもじしていました。言おうかな、黙っておこうかな。今年はわたしも大変だったんですよ。実はガンになっちゃいましてね。でも治ったんです。
病気自慢はしたくない。けれど隠しておくものでもない。うーん。
なんとなく言いそびれて、まあいいか、と思い始めていたら。
「この人も、今年は大変だったんですよ」
栗栖さんが、さっとわたしの頭に手をのばし、かぶっていた帽子を取りました。それまでずっと、朝からかぶっていた帽子でした。
みんながあっと声をあげました。
「どうしたの……」
わたしの髪の毛は、ベリーショートと言うにはまだ短すぎる長さでした。
「実はガンになっちゃって」
「えーっ」
言えた。なんとなく、胸のつかえが取れました。
説明を始めると、実は……とまわりからも出てきました。
Mさんのご主人は脳で倒れて、現在もリハビリ中。治りかけたところでまた倒れたそうで、もう無理だと何度も思ったそうです。
「で、今は……?」
「言葉はちょっと不自由だけど、ほとんど元通り」
「それは良かったですねえ」
「健康って大事よね」
「実感しました、それ。本当に」
ひとしきり家族の健康を話したあと、わたしたちは話題を、最近はやっている映画の話に移しました。
閉店まで飲みました。
わたし達はよいお年をと口々にあいさつし、解散しました。
「ありがとう」
駅までの道すがら、わたしは栗栖さんに言いました。
「みんなに打ち明けるタイミングを作ってくれて」
「言いにくそうだったからね」
「でも、もし治ってなかったら、言う勇気がなかったかもしれない」
「治ってよかったな」
「うん」
ホテルまでの電車の中は暖かく、仕事上がりのけだるい充足感と、ほろ酔いの空気を漂わせていました。
乗客はそれぞれのクリスマスに、静かに思いをはせているようでした。
「あら? 他のみんなは?」
「まだなんですよ」
時計を見ると、19時になるところです。
「時間、合ってるわよね?」
「まったくなにやってるんでしょうね。土曜日だってのに」
「みんな仕事?」
「いや、そんなはずは」
まあいいや、どんどん始めてしまいましょうか、と勝手に注文を始めるわたし達。そうこうするうちに、仲間がばらばらと到着してきました。やあやあお久しぶり。注文のピッチも上がります。
ラ・スコールはベトナム料理を出すレストラン。ベトナム料理が初めてのわたしは、メニューの説明を読みながら、ふむおいしそうとつぶやいたり、眉をひそめてみたり。
「フォーって、聞いたことあるわ」
「美味いですよ」
「おすすめは?」
「パクチー・サラダ。俺、ひとりで1皿いけます」
「パ、パクチー!?」
わたしはパクチーが大の苦手です。
「大丈夫さ」ととなりで栗栖さんが明るく力づけました。
「香菜だと思えばいいんだよ」
「ああ、そうね……って、同じじゃん!」
パクチーだめなのよー、と泣きをいれていると、
「大丈夫」とまた栗栖さん。
「コリアンダーだと思えば」
「そっか……いや、それも同じじゃん!」
久しぶりに会うメンバーです。お互いの近況報告に花が咲きます。
わたしは耳を傾けながら、どうしようかな、ともじもじしていました。言おうかな、黙っておこうかな。今年はわたしも大変だったんですよ。実はガンになっちゃいましてね。でも治ったんです。
病気自慢はしたくない。けれど隠しておくものでもない。うーん。
なんとなく言いそびれて、まあいいか、と思い始めていたら。
「この人も、今年は大変だったんですよ」
栗栖さんが、さっとわたしの頭に手をのばし、かぶっていた帽子を取りました。それまでずっと、朝からかぶっていた帽子でした。
みんながあっと声をあげました。
「どうしたの……」
わたしの髪の毛は、ベリーショートと言うにはまだ短すぎる長さでした。
「実はガンになっちゃって」
「えーっ」
言えた。なんとなく、胸のつかえが取れました。
説明を始めると、実は……とまわりからも出てきました。
Mさんのご主人は脳で倒れて、現在もリハビリ中。治りかけたところでまた倒れたそうで、もう無理だと何度も思ったそうです。
「で、今は……?」
「言葉はちょっと不自由だけど、ほとんど元通り」
「それは良かったですねえ」
「健康って大事よね」
「実感しました、それ。本当に」
ひとしきり家族の健康を話したあと、わたしたちは話題を、最近はやっている映画の話に移しました。
閉店まで飲みました。
わたし達はよいお年をと口々にあいさつし、解散しました。
「ありがとう」
駅までの道すがら、わたしは栗栖さんに言いました。
「みんなに打ち明けるタイミングを作ってくれて」
「言いにくそうだったからね」
「でも、もし治ってなかったら、言う勇気がなかったかもしれない」
「治ってよかったな」
「うん」
ホテルまでの電車の中は暖かく、仕事上がりのけだるい充足感と、ほろ酔いの空気を漂わせていました。
乗客はそれぞれのクリスマスに、静かに思いをはせているようでした。
JUGEMテーマ:クリスマス
2010クリスマス(4)チャリダーご一行様
2011.05.29 Sunday
帰り道。ベロタクシーのお兄さんがふうふう言いながら登った坂を、ゆっくりと下りていきます。以前も来た道を、またこうして歩けるのがうれしい。
ビタミンウォーターの自動販売機。歩道側に並んでいるお地蔵さんたち。石柵に彫られた名前。増上寺はなにか催しをしているらしく、境内は明るく照らされています。
ひとつひとつが、懐かしいものでした。
車道に出ました。
一気に広がる道路、車、バイク、人。街灯にヘッドライト。音。
「おお、にぎやかだ」
「戻ってきた、って感じね」
活気あふれる街に生命力を感じ、なんとなく笑ってしまいました。
ふい、と自転車が、車道を走っていきました。また1台。どうやらツーリングの団体のようです。
「今日は歩道が混んでるからね」
「楽しそう」
どこに行くのかな? と眺めていて。
乗っている一人の服の色が、目が止まりました。
「あれ? あの服……」
全身が赤い。袖口と裾が白くフワフワしています。あれはもしかして……
「サンタさん!」
え? なになに? と言う栗栖さんに、自転車を指してあげます。
「本当だ」
次に来た自転車も、サンタの格好でした。こんどは帽子つき。どんどん赤い人が走ってきます。
なんと、サンタクロースの自転車集団でした。
いろいろな格好がありました。
基本は上下赤のサンタ服らしく、帽子つき、袋つき、白ひげ付き、とバリエーション豊かです。普通の服で、ただ色が赤いだけの人もいました。
「わあ……」
思わず笑顔になってしまいました。
サンタ服のうえに、点滅する電球を巻きつけて、全身ピカピカさせている人もいました。
ひとりだけ茶色で、トナカイのかぶりものをしていました。
(ツリーを頭にかぶっている人がいたような気がしますが、ちょっと記憶があいまい。)
10人以上いるでしょうか。みんなすごい勢いで自転車をこいで、目の前を猛スピードで横切っていきます。
「楽しい」
私たちが身をのりだしているのを見て、サンタに気がついて目を丸くしている人も出てきました。指をさし、笑い声があがります。
全身でおかしさをふりまいているサンタ達の中で、恥ずかしそうは表情をしているサンタもひとりいました。
夜の車道、クリスマスイブ。
夢のような光景でした。彼らは急に現れ、あっという間に走り去っていきました。
信号が赤になりました。横断歩道を、我に返った人々が渡り始めます。
私と栗栖さんは顔を見合わせました。ふふ、となにか秘密を共有する笑みを交わして。
「行こうか」
「うん」
これが今年の、クリスマス・プレゼントです。
ビタミンウォーターの自動販売機。歩道側に並んでいるお地蔵さんたち。石柵に彫られた名前。増上寺はなにか催しをしているらしく、境内は明るく照らされています。
ひとつひとつが、懐かしいものでした。
車道に出ました。
一気に広がる道路、車、バイク、人。街灯にヘッドライト。音。
「おお、にぎやかだ」
「戻ってきた、って感じね」
活気あふれる街に生命力を感じ、なんとなく笑ってしまいました。
ふい、と自転車が、車道を走っていきました。また1台。どうやらツーリングの団体のようです。
「今日は歩道が混んでるからね」
「楽しそう」
どこに行くのかな? と眺めていて。
乗っている一人の服の色が、目が止まりました。
「あれ? あの服……」
全身が赤い。袖口と裾が白くフワフワしています。あれはもしかして……
「サンタさん!」
え? なになに? と言う栗栖さんに、自転車を指してあげます。
「本当だ」
次に来た自転車も、サンタの格好でした。こんどは帽子つき。どんどん赤い人が走ってきます。
なんと、サンタクロースの自転車集団でした。
いろいろな格好がありました。
基本は上下赤のサンタ服らしく、帽子つき、袋つき、白ひげ付き、とバリエーション豊かです。普通の服で、ただ色が赤いだけの人もいました。
「わあ……」
思わず笑顔になってしまいました。
サンタ服のうえに、点滅する電球を巻きつけて、全身ピカピカさせている人もいました。
ひとりだけ茶色で、トナカイのかぶりものをしていました。
(ツリーを頭にかぶっている人がいたような気がしますが、ちょっと記憶があいまい。)
10人以上いるでしょうか。みんなすごい勢いで自転車をこいで、目の前を猛スピードで横切っていきます。
「楽しい」
私たちが身をのりだしているのを見て、サンタに気がついて目を丸くしている人も出てきました。指をさし、笑い声があがります。
全身でおかしさをふりまいているサンタ達の中で、恥ずかしそうは表情をしているサンタもひとりいました。
夜の車道、クリスマスイブ。
夢のような光景でした。彼らは急に現れ、あっという間に走り去っていきました。
信号が赤になりました。横断歩道を、我に返った人々が渡り始めます。
私と栗栖さんは顔を見合わせました。ふふ、となにか秘密を共有する笑みを交わして。
「行こうか」
「うん」
これが今年の、クリスマス・プレゼントです。
JUGEMテーマ:東京散歩
JUGEMテーマ:クリスマス
2010クリスマス(3)東京タワー
2011.05.23 Monday
息をはずませているお兄さんにお金を払うと、ベロタクシーは来た道を帰っていきました。
降りたところは、交差点でした。ここから坂がもっと急になります。
「ああ、ここだったんだ」
すぐ目の前に、見覚えのある鉄塔がそびえていました。ライトアップされて、人々がそこに向かっています。
東京タワーでした。
「あの人、途中までしか行けない、なんて言ってたけど」
「ここまで来てくれれば御の字だね」
同じように見に来た人たちの流れに混じって、私たちも坂道を上がっていきました。
近づくにつれ、タワーの足元に、群集のシルエットが浮かび上がってきました。キラキラ光る照明や音楽の下、親子やカップルが、そぞろ歩いています。子供たちは、アトラクションに歓声をあげています。
「すごい人だね」
「タワーに昇る?」
「うん」
入り口から、行列がのびているのが見て取れました。
「あれ?」
行列は外へのびています。建物の外のぐるりの闇に目をこらすと、行列が浮かび上がってきました。100人以上はいるでしょうか。辛抱強く立っています。
「うわあ」
受付でたずねると、1時間半待ちとのこと。
「どうしよう」
「これから飲み会だし……」
それだけ待って、昇っていたら、時間が足りません。
チケットを確認すると、期限はありません、いつ使っても良いですとの返事。
「また今度にしようか」
「そうね」
私たちは東京タワーを後にしました。
少し離れたところで振り返りました。タワーはオレンジ色に輝き、それ自体がクリスマスツリーのようでした。空に小さく光る星も、ライトアップに一役買っていました。
おもちゃ箱のような音楽が、かすかに聞こえていました。
降りたところは、交差点でした。ここから坂がもっと急になります。
「ああ、ここだったんだ」
すぐ目の前に、見覚えのある鉄塔がそびえていました。ライトアップされて、人々がそこに向かっています。
東京タワーでした。
「あの人、途中までしか行けない、なんて言ってたけど」
「ここまで来てくれれば御の字だね」
同じように見に来た人たちの流れに混じって、私たちも坂道を上がっていきました。
近づくにつれ、タワーの足元に、群集のシルエットが浮かび上がってきました。キラキラ光る照明や音楽の下、親子やカップルが、そぞろ歩いています。子供たちは、アトラクションに歓声をあげています。
「すごい人だね」
「タワーに昇る?」
「うん」
入り口から、行列がのびているのが見て取れました。
「あれ?」
行列は外へのびています。建物の外のぐるりの闇に目をこらすと、行列が浮かび上がってきました。100人以上はいるでしょうか。辛抱強く立っています。
「うわあ」
受付でたずねると、1時間半待ちとのこと。
「どうしよう」
「これから飲み会だし……」
それだけ待って、昇っていたら、時間が足りません。
チケットを確認すると、期限はありません、いつ使っても良いですとの返事。
「また今度にしようか」
「そうね」
私たちは東京タワーを後にしました。
少し離れたところで振り返りました。タワーはオレンジ色に輝き、それ自体がクリスマスツリーのようでした。空に小さく光る星も、ライトアップに一役買っていました。
おもちゃ箱のような音楽が、かすかに聞こえていました。
JUGEMテーマ:東京散歩
JUGEMテーマ:☆東京タワー☆
2010クリスマス(2)ベロタクシー
2011.05.17 Tuesday
ベロタクシーに乗りました。観覧車を半分にしたような、なんとも面白い形です。
私たちが座ったのを確認すると、お兄さんはブランケットを出して、ひざに掛けてくれて、
「それじゃ、出発しますね」
自転車にまたがり、こぎ始めました。
ベロタクシーは初めしずしずと、それからしだいに速度を速めていきました。
静かでした。車のようなエンジン音もなく、人力車のような振動もなく(確認してませんが、あれは揺れるのではないでしょうか)。
すっかり暗くなった街をながめながら、私たちはのんびり進んでいきました。横をふきぬけていく風は自転車そのもので、ほおをそよそよとなでていきます。車だとあっという間に流れていく風景も、今日はひとつひとつ見ることができます。
「足が楽だね」
「高いと景色が違うね」
以前も2人でこの道を歩きました。ああ、あの公園は見たことがある。その由緒ありそうな建物は、たしかレストラン。
自転車にまたがったお兄さんは、ふだんは車のじゃまにならないよう、歩道よりを走ります。が、信号機が赤になると、停止線の前で、他の車と並んで停まります。
自転車のような、自動車のようなベロタクシー。
増上寺のある交差点を曲がるとき、ベロタクシーは車と前後しながら、車道の真ん中を走りました。過ぎると、自転車に戻って歩道ぎりぎり近くまで寄り、私たちがよくお寺を見れるよう、ゆっくり走ってくれました。
ベロタクシーは、お寺の脇の道をひょいと入っていきました。車では入りにくいところです。
そこから急な坂道に。
「大変じゃないですか? 降りましょうか?」
と聞くと、
「あ、平気ですよ。ぎりぎりまで行きます」
と頼もしい返事。でもタクシー本体の重みプラス2人分の体重です。はらはらしていると、
「たぶんこれ、電動アシストだから」
と栗栖さんが言いました。え、そうなんだ。
「そうなんですよ」
そう言いつつも、お兄さんは立ちこぎを始めました。片足に全体重をかけて、こんどは反対の足。よいしょ、よいしょ。
後ろから押してあげたい、と思いつつ固まっていると、
「じゃ、すみません、ここまでで」
ついにタクシーが停まりました。
私たちが座ったのを確認すると、お兄さんはブランケットを出して、ひざに掛けてくれて、
「それじゃ、出発しますね」
自転車にまたがり、こぎ始めました。
ベロタクシーは初めしずしずと、それからしだいに速度を速めていきました。
静かでした。車のようなエンジン音もなく、人力車のような振動もなく(確認してませんが、あれは揺れるのではないでしょうか)。
すっかり暗くなった街をながめながら、私たちはのんびり進んでいきました。横をふきぬけていく風は自転車そのもので、ほおをそよそよとなでていきます。車だとあっという間に流れていく風景も、今日はひとつひとつ見ることができます。
「足が楽だね」
「高いと景色が違うね」
以前も2人でこの道を歩きました。ああ、あの公園は見たことがある。その由緒ありそうな建物は、たしかレストラン。
自転車にまたがったお兄さんは、ふだんは車のじゃまにならないよう、歩道よりを走ります。が、信号機が赤になると、停止線の前で、他の車と並んで停まります。
自転車のような、自動車のようなベロタクシー。
増上寺のある交差点を曲がるとき、ベロタクシーは車と前後しながら、車道の真ん中を走りました。過ぎると、自転車に戻って歩道ぎりぎり近くまで寄り、私たちがよくお寺を見れるよう、ゆっくり走ってくれました。
ベロタクシーは、お寺の脇の道をひょいと入っていきました。車では入りにくいところです。
そこから急な坂道に。
「大変じゃないですか? 降りましょうか?」
と聞くと、
「あ、平気ですよ。ぎりぎりまで行きます」
と頼もしい返事。でもタクシー本体の重みプラス2人分の体重です。はらはらしていると、
「たぶんこれ、電動アシストだから」
と栗栖さんが言いました。え、そうなんだ。
「そうなんですよ」
そう言いつつも、お兄さんは立ちこぎを始めました。片足に全体重をかけて、こんどは反対の足。よいしょ、よいしょ。
後ろから押してあげたい、と思いつつ固まっていると、
「じゃ、すみません、ここまでで」
ついにタクシーが停まりました。
JUGEMテーマ:東京散歩