花になる
2015.07.07 Tuesday
あなたの花になりましょう。
大輪の薔薇ではなく、野に咲く菫ですけれども。
花びらのスカートをゆらし、葉っぱのリボンを結んで。朝露を取ってイヤリングにし、月光を集めてネックレスにします。
仕上げに香水をひとふり。
歌を歌ったりもします。
もちろん小声よ。
恥ずかしがりなの。菫ですから。
わたしはしとやかに目をふせ、でも時々、あなたの横顔をちらちらと見ています。ふふ、こっそりとね。
でも、もしかしたら、あなたは気づいていらっしゃるのかしら……
あなたの笑みは、わたしの太陽。
ほほえみかけられると、わたしはとても幸せな気持ちになるんです。
毎日くださいな。
大好きなのよ、それ。
どうぞくちづけてください。
わたしは、あなただけの花になりたいのです。
大輪の薔薇ではなく、野に咲く菫ですけれども。
花びらのスカートをゆらし、葉っぱのリボンを結んで。朝露を取ってイヤリングにし、月光を集めてネックレスにします。
仕上げに香水をひとふり。
歌を歌ったりもします。
もちろん小声よ。
恥ずかしがりなの。菫ですから。
わたしはしとやかに目をふせ、でも時々、あなたの横顔をちらちらと見ています。ふふ、こっそりとね。
でも、もしかしたら、あなたは気づいていらっしゃるのかしら……
あなたの笑みは、わたしの太陽。
ほほえみかけられると、わたしはとても幸せな気持ちになるんです。
毎日くださいな。
大好きなのよ、それ。
どうぞくちづけてください。
わたしは、あなただけの花になりたいのです。
JUGEMテーマ:詩
JUGEMテーマ:恋愛詩+゚*
台風・2
2012.10.10 Wednesday
晴れわたった青空に、
台風がやって来る。
普通の人はまだ知らず、
なにを言うかと笑っている。
あれはただの薄雲だ、と。
だけど、見ろ。
霞のむこうの、あの厚さを。
霧雨のあとに控えている、あの濃さを。
迫りくる雲が、見えないか。
吹き荒れる嵐が、見えないか。
まやかしの青に隠れて、
黒い影が忍び来る。(いや、それはすでにある)
見ろ、
目に映るものの
その先を。
見ろ、
目を閉じ、口もきけずに 横たわる
人々の 濡れそぼった姿を。
はるかな過去は、
未来にそれをうつすだろう。
顔を 上げろ。
手を 上げろ。
声を 上げろ。
見えない雲を 見ろ。
台風がやって来る。
普通の人はまだ知らず、
なにを言うかと笑っている。
あれはただの薄雲だ、と。
だけど、見ろ。
霞のむこうの、あの厚さを。
霧雨のあとに控えている、あの濃さを。
迫りくる雲が、見えないか。
吹き荒れる嵐が、見えないか。
まやかしの青に隠れて、
黒い影が忍び来る。(いや、それはすでにある)
見ろ、
目に映るものの
その先を。
見ろ、
目を閉じ、口もきけずに 横たわる
人々の 濡れそぼった姿を。
はるかな過去は、
未来にそれをうつすだろう。
顔を 上げろ。
手を 上げろ。
声を 上げろ。
見えない雲を 見ろ。
JUGEMテーマ:詩
わが家の たからもの(人間国宝にはなれなくても)
2011.08.06 Saturday
国宝級の伝統技術を持っていなくても
長者番付のリストに載らなくても
社会を変える大発明をしなくても
あなた
そのすてきなほほえみが
あなた
その軽快なフットワークが
あなた
その楽しいおしゃべりが
みんなみんな
うちの たいせつな
人間“家”宝
長者番付のリストに載らなくても
社会を変える大発明をしなくても
あなた
そのすてきなほほえみが
あなた
その軽快なフットワークが
あなた
その楽しいおしゃべりが
みんなみんな
うちの たいせつな
人間“家”宝
JUGEMテーマ:家族のこと
夜桜
2011.05.03 Tuesday
光のない光が 来る
闇を つき
東風に 乗って
臭いも
色も なく
矢をはらみ ごうごうと
車も
人も
明かりも 消えた
街に
ただ
桜 だけ が
桜
苦しげに 青ざめて
桜
身をねじり 腕をよじり
桜
届かぬ 悲鳴を上げ
しがみつく
満開の花 花……
散らすな 風よ
この花たちを
どうか
枝に つなぎとめて
せめて このひと夜
黒い 大気に
月は 冷ややかにそびえる
爪は 木を切りさき
はなれた
花びらが 舞う
月のまわりを
奏でるように 命を
――ああ そこへ
君たちは 飛ぶか
高く 宇宙まで
そして 星に――
風が吹く
眼窩のうつろな 馬たちが
ひづめで 蹴ちらかしながら
風が吹く
東のほうから
亡霊たちの 影をまとい
死の吐息を はらみながら
闇を つき
東風に 乗って
臭いも
色も なく
矢をはらみ ごうごうと
車も
人も
明かりも 消えた
街に
ただ
桜 だけ が
桜
苦しげに 青ざめて
桜
身をねじり 腕をよじり
桜
届かぬ 悲鳴を上げ
しがみつく
満開の花 花……
散らすな 風よ
この花たちを
どうか
枝に つなぎとめて
せめて このひと夜
黒い 大気に
月は 冷ややかにそびえる
爪は 木を切りさき
はなれた
花びらが 舞う
月のまわりを
奏でるように 命を
――ああ そこへ
君たちは 飛ぶか
高く 宇宙まで
そして 星に――
風が吹く
眼窩のうつろな 馬たちが
ひづめで 蹴ちらかしながら
風が吹く
東のほうから
亡霊たちの 影をまとい
死の吐息を はらみながら