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2015.07.13 Monday

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    一番蝉 〜夏の呼び声〜

    2009.07.11 Saturday

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      梅雨明けなどまだ遠い先の、この町に。
      一瞬の青空をぬって、その蝉は来た。

      夏を、呼ぶために。
      期限は、7日。


      蝉は鳴く。夏よ来い、夏よ来い、と。長い直線をひくように。
      疲れて羽が止まっても、すぐまた震わせ、鳴き始める。
      その、ひたむきさ。

      私は彼に問いかける。
      なぜそんなに早く生まれて来る?
      明日にはまた冷たい雨の日々に戻ってしまうというのに。
      なぜそんなに心がきしるような音をたてて鳴く?
      ひとりだけでは、誰の耳にも届かないだろうに。
      せっかくの短い命。もっと生きやすい時期を選んでもよかったのに。
      なのになぜ。

      答えず、蝉はただ、鳴きつづける。
      夏よ、来い。
      夏よ、来い。
      夏よ、来い。

      下界の騒音にかき消されそうになりながら、細々と夏を歌う、その声に――
      私は、夢想する。

      7日間夏を呼び、ついにその蝉が死んだら。
      きっと次の蝉が出て来、また7日間夏を呼ぶ。
      その蝉が死んだら、別の蝉たちが現れ、また夏を呼ぶ。
      命の、声のリレー。

      共に歌い続ける彼らの声は、やがて雨雲を裂くだろう。いつか真夏の太陽の下で、それは幸せな合唱となることだろう。
      人々は、青い空を見上げ、夏が来たと言うが、それが蝉たちの仕業だとは誰も知らない……


      私は、姿の見えない蝉をふりあおいだ。
      ――木々の枝が、強い風にあおられている。
      声はしかし、止む気配はなかった。

       
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      2015.07.13 Monday

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        コメント
        埼玉や東京に居た頃は、6月下旬になるとニイニイゼミが鳴き始めました。
        その年初めての蝉の鳴き声を聞くと、梅雨空ばかりの日々でも夏は来ているのだと実感します。
        たしかにその一番蝉が死んでしまったとしても、次の蝉が鳴き始めて、確実に夏を呼ぶリレーは続いていきますね。
        やがて梅雨が明け真夏になる頃には蝉達も大合唱になります。
        はまかぜさん、こんにちは。
        夏日になりましたね。今日は1日じゅう夏日でした。蝉もすこし前から鳴き始めました。
        梅雨のしっとりした風情も好きですが、真夏のワーッと生命があふれた感じもいいですね(蚊だけはご遠慮願いたいですが……)。
        • by 空知
        • 2015/07/11 10:21 PM
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