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2015.07.13 Monday

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    冷房、入る

    2009.07.13 Monday

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      うちの会社は、経費節減のため、冷房は厳禁。
      ――の、はずでした。

      それが、気がつくとあちらの部署が冷え、こちらのフロアも涼しく、となって来、なしくずしにあちこちで冷房を入れるようになっていました。
      ここ数日では、もう冷房をつけずに汗をかきかきいるのは「冷房はイカン」と決めた部署と、うちのフロアだけになってしまいました。

      ついに今日、暑さに耐えかねた他部署のオジサマが、それでも自分がスイッチを入れる勇気はないようで、ベテランさんに「このフロア、暑いよね。仕事に影響が出ない? ねえ」とあからさまにねだってきました。
      ベテランさんは、
      「冷房はいけないんじゃないの」
      とぶつぶつ言いながらも、首に当てていたアイスノンを置いて、席を立ちました。

      設置されている冷房は、いつからあるのか、誰も知りません。会社が設立された時からあるらしい、という噂を聞いたことがあります。とすると30年か、それ以上前のもの? きゃー。

      幅は両手を広げたくらい、高さは天井に届くほど、厚みは小さな机1個分。コンパクト化が進む前のエアコンはこんなに大きかったのかと、家電製品の歴史(のスタート地点)を感じます。

      元はクリーム色だったらしい塗装は、いわく言いがたいラクダ色になっています。白かったスイッチも、今は日がたちすぎた豆腐のようで、いかにも古びています。

      ベテランさんが、冷房のスイッチを入れました。

      ゴガガガ、ゴガガガ。
      なにかが中でひっかかる音がして、最初はすぐスイッチを切りました。
      フロアに緊張が走ります。
      壊れたのかな。でも壊れても、予算がないから買い替えられません。そうしたらこの夏はどうしよう。

      少し機械を休ませて。
      もう一度、スイッチオン。

      入れたとたん、フロアの反対まで舞い届くほこり。
      ゴウンゴウンと響き渡る轟音は、まるで電車の中にいるかのようで、うるさくて電話の声が聞き取れません。

      加えて、強烈な寒さ。しかも局地的な。
      機械が古いため、冷気をまんべんなく各方向に送る、という芸当ができません。ただ前方のみにひたすら冷たい風を送り続けます。
      おかげで冷房の真ん前にいる15人ほどは、氷のような強風にさらされてガタガタ震え、その他大勢は生ぬるい風をうけて、涼しいとも暑いともつかない状態になっています。

      それでも、頭がボーッとするようなさっきよりはずっと快適になったと、フロアの人達は喜んで襟元に風を入れ込んでいました。

      私の席は冷風の直撃コースにあります。スイッチが入ったと同時に、私は防寒対策をとりました。
      会社の上着(長袖)を着込み、しまってあったフリースのひざ掛けにくるまります。ああこれで暖かくなった。
      冬も防寒ですが、夏も防寒なんですね……。

      しばらくその態勢で仕事をしていましたが、冷気が布ごしにしんしんと伝わってきたので、ちょっと外に避難することにしました。

      フロアのドアを開けて、廊下に出ると、かけていた眼鏡のガラスがあっという間に曇りました。み、見えない……。
      冬だったら分かりますけども。一体どれだけの温度差なのでしょうか。

      もし携帯電話を持ってフロアを出入りしたら、内部で結露してしまうのでしょうか。そうしたら、夏が終わる前に水没状態になって、故障してしまうかもしれない。店になんて言って修理に持っていこうか……なんて、余計な想像をして勝手に困ってみたりもして。

      そんなこんなの冷房です。明日もきっと私の席は南極になるのでしょう。
      クリーニングから戻ってきたばかりのマフラーを、もう出したくなってきました……。

       
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