新作ドーナツの誘惑(フロッキーシュー)
2009.01.31 Saturday
不況の影響で、我が家も緊縮財政です。
「そこの喫茶店でお茶でも」「夕飯は外で」というのが、なかなかできなくなりました。
買い物の帰り道、ミスドの店頭で、新作のドーナツの旗を見つけました。
フロッキーシュー。
ポン・デ・リングとフレンチクルーラーをミックスしたものだそうです。味はブルーベリー、チョコ、アップルの3種類。
あっさり誘惑にかられました。
こっそり食べていっちゃおうかな? 黙っていればバレないし。お小遣いはまだ残っているし……
入りました。
「いらっしゃいませ」
「フロッキーシューの、チョコレートとブルーベリー。あとコーヒーをください」
「お持ち帰りですか?」
「いいえ、こちらで食べていきます」
証拠隠滅。
「かしこまりました」
トレイを持って、店員さんはレジに向かいました。
急に、後ろめたくなりました。
あとで一人で食べたと知ったら、きっと栗栖氏はがっかりするだろうなあ。
それに、コーヒーが262円……ドーナツも入れたら400円になる。もしドーナツ2個だけなら、300円しないで買える。
うーん……
すみません、と店員さんに声をかけました。
「……やっぱり、持ち帰りにしてもいいですか?」
「いいですよ」
店員さんは、客の心変わりには慣れているようすで、
「手提げ袋はご入用ですか?」
「いえ、紙袋だけで結構です」
すっきりした気持ちで、店を後にしました。
イートインするより安くなったし、なにより、独り占めする後ろめたさもなくなりました。(笑)
帰ってきた栗栖氏と、新作のドーナツでお茶をするのが楽しみです。きっと喜ぶでしょう。
チョコレートとブルーベリー、私はどっちにしよう? それとも半分ずつにして、両方味を見ようかな……?
(後日談)
ちなみに。食べてみたら、いまいちでした。やっぱりポン・デ・リングとフレンチクルーラーは、別々がいいなあ。
=====
フロッキーシュー。136円。
ハロー、ダーリン
2009.01.28 Wednesday
栗栖氏が風邪をひきました。暖房のない職場でがんばっていたせいでしょう。
ここ数日、帰宅するとティッシュの箱をそばに置き、コタツで横になってぐったりしています。
今夜もコタツに。熟睡するといけないので、揺り起こしました。
「そこで寝てると風邪を引くよ」
……って、もう引いてますけども (^^;)。
布団を乾燥機で温め、寝かせました。
大人しく横になる栗栖氏。あたたかそうに目を閉じています。口が乾かないようにか、布団を鼻の上まで掛けています。
「なにかいる?」
「桃缶」
「――は、ないかも」
「じゃあ、紅茶。あったかいやつ」
「ティーバッグでもいい?」
「うん。すぐにね」
「はいはい」
まるで子供のようです。きっと今は、大人の顔がお休みなのでしょう。
「はい、紅茶」
「ありがと」
よっこらしょと上半身を起こす栗栖氏。カップに手をそえて、飲ませてあげます。
「他にいるものある?」
「ううん、大丈夫」
「そう? じゃあ、コップ、ここに置いておくね」
「うん」
こくん、と彼はうなづき、そのしぐさがまた素直で少年のようで。なんとなく私は、お母さんになったみたいな気分になり――
ああ、私はまさに、彼のお母さんになっているんだ、と閃きました。そして今ここにいるのは、少年時代の栗栖氏だ。
いつか見せてもらった、写真の中でしか知らない、やんちゃな笑顔のあの子に、私は会っているのだ……
具合はどう? 栗栖。ゆっくり休んで、風邪を治してね。早く元気な顔を見たいわ。
お会いすることのなかったお義母さんは、こんな気持ちで、小さい彼を見守っていたのでしょうか……。
額に手をやると、少し熱が出てきているようでした。
「なにか用事があったら、声をかけてね」
「うん」
私は立ち上がって、天井の明かりを小さくしました。
「おやすみ」
暗くなった部屋から、「おやすみ」と、くぐもった声が返ってきました。それは大人のようでもあり、子供のようでもありました。
私は音をたてずに戸を閉め、そっと、階段を下りていきました。
ここ数日、帰宅するとティッシュの箱をそばに置き、コタツで横になってぐったりしています。
今夜もコタツに。熟睡するといけないので、揺り起こしました。
「そこで寝てると風邪を引くよ」
……って、もう引いてますけども (^^;)。
布団を乾燥機で温め、寝かせました。
大人しく横になる栗栖氏。あたたかそうに目を閉じています。口が乾かないようにか、布団を鼻の上まで掛けています。
「なにかいる?」
「桃缶」
「――は、ないかも」
「じゃあ、紅茶。あったかいやつ」
「ティーバッグでもいい?」
「うん。すぐにね」
「はいはい」
まるで子供のようです。きっと今は、大人の顔がお休みなのでしょう。
「はい、紅茶」
「ありがと」
よっこらしょと上半身を起こす栗栖氏。カップに手をそえて、飲ませてあげます。
「他にいるものある?」
「ううん、大丈夫」
「そう? じゃあ、コップ、ここに置いておくね」
「うん」
こくん、と彼はうなづき、そのしぐさがまた素直で少年のようで。なんとなく私は、お母さんになったみたいな気分になり――
ああ、私はまさに、彼のお母さんになっているんだ、と閃きました。そして今ここにいるのは、少年時代の栗栖氏だ。
いつか見せてもらった、写真の中でしか知らない、やんちゃな笑顔のあの子に、私は会っているのだ……
具合はどう? 栗栖。ゆっくり休んで、風邪を治してね。早く元気な顔を見たいわ。
お会いすることのなかったお義母さんは、こんな気持ちで、小さい彼を見守っていたのでしょうか……。
額に手をやると、少し熱が出てきているようでした。
「なにか用事があったら、声をかけてね」
「うん」
私は立ち上がって、天井の明かりを小さくしました。
「おやすみ」
暗くなった部屋から、「おやすみ」と、くぐもった声が返ってきました。それは大人のようでもあり、子供のようでもありました。
私は音をたてずに戸を閉め、そっと、階段を下りていきました。
袖を通して(仮題)
2009.01.25 Sunday
冬服を出しました。極寒の職場用に (^^;)。十年以上、小さく折りたたまれていたもので、ストレッチ素材。
朝、さあ着ようと引っ張ったら、そのまま戻らなくなってしまいました。縮めようとしましたが、力なく伸びたままです。
もったいないからと、1日それを着けてたけども、どうにも着心地が悪い。
もったいないけど、その日のうちに捨てました。
野菜などは、すぐに腐るので、「悪くなる前に使ってしまおう」と思うけれど。
服は、なんとなくタイミングを逃すと、着る機会を失ったりするんですよね。捨てようとも思うけれど、腐るものじゃないし。もしかしたらいつか着るかもしれない、とまた箱に戻したりして。
そしてタンスのこやしになる (^^;)。
でも、どんなにいい服でも、10年も20年もたてば、さすがに生地は硬くなるし、ゴムも弾力を失って切れてくる。腐らなくても、カビは生えるかもしれない。
せっかく「すてきだな、欲しいな」と目にとまって手に入れた服です。ただ置いておくだけでは、まるで会社の窓際族。仕事をさせずに、そのうち肩たたきなんてことにならないように。
できるだけ袖を通して、いっしょに過ごさせてあげよう、と思いました。
家で、職場で。
朝、さあ着ようと引っ張ったら、そのまま戻らなくなってしまいました。縮めようとしましたが、力なく伸びたままです。
もったいないからと、1日それを着けてたけども、どうにも着心地が悪い。
もったいないけど、その日のうちに捨てました。
野菜などは、すぐに腐るので、「悪くなる前に使ってしまおう」と思うけれど。
服は、なんとなくタイミングを逃すと、着る機会を失ったりするんですよね。捨てようとも思うけれど、腐るものじゃないし。もしかしたらいつか着るかもしれない、とまた箱に戻したりして。
そしてタンスのこやしになる (^^;)。
でも、どんなにいい服でも、10年も20年もたてば、さすがに生地は硬くなるし、ゴムも弾力を失って切れてくる。腐らなくても、カビは生えるかもしれない。
せっかく「すてきだな、欲しいな」と目にとまって手に入れた服です。ただ置いておくだけでは、まるで会社の窓際族。仕事をさせずに、そのうち肩たたきなんてことにならないように。
できるだけ袖を通して、いっしょに過ごさせてあげよう、と思いました。
家で、職場で。
不況の波
2009.01.22 Thursday
夏は冷房がつかない、私の職場。
冬は、暖房がつきません。
会社曰く、
「昨今の厳しい社会不況のため、わが社も経費削減の努力を最大限しなければならず、そのためには皆さんにご協力いただきたく、お願い申し上げます」
しかし職場のおじさん達曰く、
「去年だって暖房はなかった。何もなかったのに」
ううむ……ただ光熱費をケチりたいだけ? (^^;)
とにかく寒いです。
男性はダウンのベストや、厚手のジャンパーを着てパソコンに向かっています。女性はカーデガンやセーター姿で。足にはレッグウォーマー、体の前後には貼るカイロもあります。
私も実家から、冬のカナダ旅行で着た服を移動させてきました。フリースのシャツと、裏地の付いているGパンが、数十年ぶりに登場しました。
「家にいると光熱費がかかるし、職場にいたほうが冷暖房つきでいい」
なんて思っていたのは、はるか昔になってしまいました。
着こんでいても手はかじかみ、足も氷のようになります。
「手袋をするといいですよ。ちょっとキーボードは打ちにくくなるけど」
と、ベテランのお姉さまが、アドバイスしてくれました (*^^*)。
私の困った環境を、
「そりゃあ大変だなあ」
と、ダーリン栗栖氏はのんびり笑っています。
「うちの職場は暖房が効きすぎて、暑いくらいだよ」
会社の経営状態は、暖房費に反映されるのでしょう。派遣の契約が切れたら、そこの職場にもぐりこもう、と心に誓いました。
それが去年のこと。
新年明けて。
会社を終えた栗栖氏が、青くなって帰ってきました。
「うちの所も、暖房……切られた」
ああ、不況。
冬は、暖房がつきません。
会社曰く、
「昨今の厳しい社会不況のため、わが社も経費削減の努力を最大限しなければならず、そのためには皆さんにご協力いただきたく、お願い申し上げます」
しかし職場のおじさん達曰く、
「去年だって暖房はなかった。何もなかったのに」
ううむ……ただ光熱費をケチりたいだけ? (^^;)
とにかく寒いです。
男性はダウンのベストや、厚手のジャンパーを着てパソコンに向かっています。女性はカーデガンやセーター姿で。足にはレッグウォーマー、体の前後には貼るカイロもあります。
私も実家から、冬のカナダ旅行で着た服を移動させてきました。フリースのシャツと、裏地の付いているGパンが、数十年ぶりに登場しました。
「家にいると光熱費がかかるし、職場にいたほうが冷暖房つきでいい」
なんて思っていたのは、はるか昔になってしまいました。
着こんでいても手はかじかみ、足も氷のようになります。
「手袋をするといいですよ。ちょっとキーボードは打ちにくくなるけど」
と、ベテランのお姉さまが、アドバイスしてくれました (*^^*)。
私の困った環境を、
「そりゃあ大変だなあ」
と、ダーリン栗栖氏はのんびり笑っています。
「うちの職場は暖房が効きすぎて、暑いくらいだよ」
会社の経営状態は、暖房費に反映されるのでしょう。派遣の契約が切れたら、そこの職場にもぐりこもう、と心に誓いました。
それが去年のこと。
新年明けて。
会社を終えた栗栖氏が、青くなって帰ってきました。
「うちの所も、暖房……切られた」
ああ、不況。