バラの木
2010.09.07 Tuesday
裏庭に、バラの木があります。
このアパートに越してきた時からあったので、おそらく前の住人が植えていったのでしょう。
バラは嫌いではありませんが、好きでもありません。フラワーセンターなどで眺めたり、花束でもらったりするぶんにはいいですが、育てるとなると……。
だってバラでしょ?
バラがある庭って、もっと鳥の水のみ場があったりとか、葉陰に陶器の白雪姫の小人がのぞいてたりとか、そういうゴージャスな雰囲気がなければいけないんじゃない?
それにあの棘。いかにもワタクシに触れるもの万死に値するといわんばかりの。あるいはパンクファッションの元祖というか。きっとそばに寄るたびに、わたしの髪はからみつき、袖には穴が開くにちがいない。指だってもちろん血だらけになる!
バラって病気になりやすいんじゃなかったっけ? 幹にびっしりアブラムシがついたらどうしよう?
考えてもバラとはいい関係が結べそうもなかったので、抜いてしまうことにしました。そもそもわたしはハーブが好きで、その裏庭もハーブ園にする予定でした。広さが猫の額ほどしかないため、ハーブだって全部植えることはできません。ましてや野放図に枝をのばし、数年後には他の植物たちを圧迫しそうなバラなんて。
無慈悲にポキポキと枝を折っている途中で、栗栖氏がわたしの意図に気付きました。
「かわいそうだから、とっておこうよ」
「ええ? いらないわよ。邪魔だし」
「バラだぜ」
「バラだからよ」
「まあ、いいじゃないか」
結局、バラは残されました。
わたしは空いているスペースにハーブや野菜の苗を植え、バラは黙殺しました。
その後、バラはつぼみをつけました。つぼみは次々に開いて、枝のあちこちに花を咲かせました。色は美しいピンクでした。
「あら、きれいね」
「だろ」
ハーブの緑一色だった庭に、点々と散ったピンクは鮮やかにうつりました。
花びらを落としたら、赤い実ができました。
それでは来年までさようなら――
と思っていたら、枝にまたつぼみがつきました。
花が咲きました。
「狂い咲き?」
「かなあ?」
わたしたちは頭をよせあいながら、窓ごしにバラを見つめました。
せつないほどのバラの咲きぶり。まるで間髪いれずに花をつけないと、わたしにクワをふるって抜かれてしまうとおびえているかのようでした。
昔飼っていた犬を思い出しました。
お菓子欲しさに、よくおすわりをしていました。(一発芸です。ほかに芸はできません)
胸をはって、目をキラキラさせて。それは最高にかわいい姿でした。
いい子にしてるから、お菓子ちょうだい、ちょうだい!
犬とバラがダブりました。――きれいにしてるから、抜かないよね? ね?
「よく咲くねえ」
「よく咲くなあ」
「……」
後で調べたら、バラは年に一度咲くタイプだけでなく、三季咲きとか四季咲きとか、何度も咲くタイプがあるようでした。うちのバラはそれだったのでしょう。植物からのなにか深遠な意思表示ではありませんでした。
勘違いとわかっても、けなげに何度も咲くバラに、わたしは次第に情が移ってくるのを感じました。
いつしか、次に咲くのを楽しみに待つようになっていました。
今では、バラとわたしはいい関係を築いています。
扱いもよくなりました。黙殺から、黙認へと。
たまにわたしは、バラにからみついた雑草のつるを取ってあげます。おかえしにバラは、わたしの腕にひっかき傷をこしらえてくれます。
それでわたしは、伸びすぎた枝を刈りこんであげます。
でも、根こそぎではありません。
このアパートに越してきた時からあったので、おそらく前の住人が植えていったのでしょう。
バラは嫌いではありませんが、好きでもありません。フラワーセンターなどで眺めたり、花束でもらったりするぶんにはいいですが、育てるとなると……。
だってバラでしょ?
バラがある庭って、もっと鳥の水のみ場があったりとか、葉陰に陶器の白雪姫の小人がのぞいてたりとか、そういうゴージャスな雰囲気がなければいけないんじゃない?
それにあの棘。いかにもワタクシに触れるもの万死に値するといわんばかりの。あるいはパンクファッションの元祖というか。きっとそばに寄るたびに、わたしの髪はからみつき、袖には穴が開くにちがいない。指だってもちろん血だらけになる!
バラって病気になりやすいんじゃなかったっけ? 幹にびっしりアブラムシがついたらどうしよう?
考えてもバラとはいい関係が結べそうもなかったので、抜いてしまうことにしました。そもそもわたしはハーブが好きで、その裏庭もハーブ園にする予定でした。広さが猫の額ほどしかないため、ハーブだって全部植えることはできません。ましてや野放図に枝をのばし、数年後には他の植物たちを圧迫しそうなバラなんて。
無慈悲にポキポキと枝を折っている途中で、栗栖氏がわたしの意図に気付きました。
「かわいそうだから、とっておこうよ」
「ええ? いらないわよ。邪魔だし」
「バラだぜ」
「バラだからよ」
「まあ、いいじゃないか」
結局、バラは残されました。
わたしは空いているスペースにハーブや野菜の苗を植え、バラは黙殺しました。
その後、バラはつぼみをつけました。つぼみは次々に開いて、枝のあちこちに花を咲かせました。色は美しいピンクでした。
「あら、きれいね」
「だろ」
ハーブの緑一色だった庭に、点々と散ったピンクは鮮やかにうつりました。
花びらを落としたら、赤い実ができました。
それでは来年までさようなら――
と思っていたら、枝にまたつぼみがつきました。
花が咲きました。
「狂い咲き?」
「かなあ?」
わたしたちは頭をよせあいながら、窓ごしにバラを見つめました。
せつないほどのバラの咲きぶり。まるで間髪いれずに花をつけないと、わたしにクワをふるって抜かれてしまうとおびえているかのようでした。
昔飼っていた犬を思い出しました。
お菓子欲しさに、よくおすわりをしていました。(一発芸です。ほかに芸はできません)
胸をはって、目をキラキラさせて。それは最高にかわいい姿でした。
いい子にしてるから、お菓子ちょうだい、ちょうだい!
犬とバラがダブりました。――きれいにしてるから、抜かないよね? ね?
「よく咲くねえ」
「よく咲くなあ」
「……」
後で調べたら、バラは年に一度咲くタイプだけでなく、三季咲きとか四季咲きとか、何度も咲くタイプがあるようでした。うちのバラはそれだったのでしょう。植物からのなにか深遠な意思表示ではありませんでした。
勘違いとわかっても、けなげに何度も咲くバラに、わたしは次第に情が移ってくるのを感じました。
いつしか、次に咲くのを楽しみに待つようになっていました。
今では、バラとわたしはいい関係を築いています。
扱いもよくなりました。黙殺から、黙認へと。
たまにわたしは、バラにからみついた雑草のつるを取ってあげます。おかえしにバラは、わたしの腕にひっかき傷をこしらえてくれます。
それでわたしは、伸びすぎた枝を刈りこんであげます。
でも、根こそぎではありません。
JUGEMテーマ:バラと暮らす
酷暑は酷っしょ
2010.09.05 Sunday
いやもう、今年の夏は暑いですね。熱中症で亡くなる人が続出しているとか。酷暑と呼ばれているそうですが、これだけ気温が高い日が続くと、たしかに心身ともに酷だなあと思ってしまいます。
我が家の温度計も、夜でも30度をさしています。風がない夜はとくに寝苦しく、気がつくと栗栖氏に起こされて、冷たい飲み物をあてがわれたりしています。
「大丈夫か? 息が上がっていたぞ」だそうで。
わたしもよくお返しに、栗栖氏に氷まくらと冷たい飲み物をあてがっています。顔を真っ赤にして寝ているのを見ると、いてもたってもいられなくなるんですよね。危険すぎて、別の意味でよく眠れません。
本当、夜だけは涼しくなってほしいなあ。
9月になっても暑いなんて反則ですよ。ツクツクホウシが大合唱するのを楽しみにしているのですが、なかなかその日がやってきません。油蝉がまだ元気です。
そうそう。先日、蝉が落ちる瞬間を見ました。電柱から、ボトッと一直線に。それきり飛び上がらなかったのですが、あの蝉はどうなったのでしょう? 死んじゃったのかしら。蝉の地上での寿命は7日間だそうですから、最期の瞬間にわたしは立ち会ったのかもしれません。
でも、熱中症で気絶したのかな、とも思うんですよね。地上に落ちて、ちょっと涼しいからこのままでいようかな、なんて。涼んで、夕方になったら回復してまた飛んでったりして。
ないか。
どうなんでしょう、蝉の暑さの許容範囲ってどのくらいなんでしょうか。そもそも昆虫は気絶するのだろうか。
鳥も、暑いと落ちるんだそうですね。聞いた話ですけど。
で、落ちた鳥に水をかけたら、息を吹き返して飛んでいったそうです。
面白いですね。
うーん、暑くて言葉がまとまりません。
7月の掃除ネタも8月の連休ネタも、9月になるまで書けなかったし。
もう冷蔵庫に頭を突っ込むことばかり考えています。
早く涼しくならないかなあ。
我が家の温度計も、夜でも30度をさしています。風がない夜はとくに寝苦しく、気がつくと栗栖氏に起こされて、冷たい飲み物をあてがわれたりしています。
「大丈夫か? 息が上がっていたぞ」だそうで。
わたしもよくお返しに、栗栖氏に氷まくらと冷たい飲み物をあてがっています。顔を真っ赤にして寝ているのを見ると、いてもたってもいられなくなるんですよね。危険すぎて、別の意味でよく眠れません。
本当、夜だけは涼しくなってほしいなあ。
9月になっても暑いなんて反則ですよ。ツクツクホウシが大合唱するのを楽しみにしているのですが、なかなかその日がやってきません。油蝉がまだ元気です。
そうそう。先日、蝉が落ちる瞬間を見ました。電柱から、ボトッと一直線に。それきり飛び上がらなかったのですが、あの蝉はどうなったのでしょう? 死んじゃったのかしら。蝉の地上での寿命は7日間だそうですから、最期の瞬間にわたしは立ち会ったのかもしれません。
でも、熱中症で気絶したのかな、とも思うんですよね。地上に落ちて、ちょっと涼しいからこのままでいようかな、なんて。涼んで、夕方になったら回復してまた飛んでったりして。
ないか。
どうなんでしょう、蝉の暑さの許容範囲ってどのくらいなんでしょうか。そもそも昆虫は気絶するのだろうか。
鳥も、暑いと落ちるんだそうですね。聞いた話ですけど。
で、落ちた鳥に水をかけたら、息を吹き返して飛んでいったそうです。
面白いですね。
うーん、暑くて言葉がまとまりません。
7月の掃除ネタも8月の連休ネタも、9月になるまで書けなかったし。
もう冷蔵庫に頭を突っ込むことばかり考えています。
早く涼しくならないかなあ。
JUGEMテーマ:夏の暑さ対策
お盆休み2010(ハーゲンダッツ ソルティバタービスケット)
2010.09.03 Friday
掃除熱が冷めないまま8月に突入したため、お盆の連休は、掃除ばかりして過ごしました。
例年ですと、趣味のなにかの買い出しとか、東京下町散歩などに出かけたりと、そこそこアクティブな日があるのですが。
まあ今年は、わたしの体調のこともありますし、無理はできないかなと。
でもあれですね、“巣”がこぎれいになっていると、居心地がいいですね。
いままで平日の仕事に週末の遠出にと、家を出ることが多かったのは、なにもわたしが行動的ということではなく、単にゴチャゴチャの巣から逃げ出したかったからなのかもしれません。
掃除は快適でした。
なんの掃除をしたかというと、年末の大掃除の前倒しです(早い?)。窓拭き、家具の後ろや桟のほこり取り、照明の笠の掃除。
あたりまえですが寒くないので、思っていた以上に楽でした。特に水をつかう拭き掃除は、手がかじかみ息が白くなる12月ではなく、8月がおすすめです。濡れた跡は強い日差しですぐ乾くし、窓を全開にしても風邪をひく心配がありません。
換気扇をきれいにし、庭の草むしりをし。2人でちまちま仲良く掃除をしました。
連日インドアでさすがに飽きたので、休みの後半は、近所の映画館で映画を見たり、古本屋を回ってマンガを大人買いしたりしました。コンビニでハーゲンダッツの新作を見つけたり(ソルティバタービスケット、美味でした!)。
最終日は、飲み屋でまったりと日本酒で乾杯。
なかなかこぢんまりと幸せな連休でした。
例年ですと、趣味のなにかの買い出しとか、東京下町散歩などに出かけたりと、そこそこアクティブな日があるのですが。
まあ今年は、わたしの体調のこともありますし、無理はできないかなと。
でもあれですね、“巣”がこぎれいになっていると、居心地がいいですね。
いままで平日の仕事に週末の遠出にと、家を出ることが多かったのは、なにもわたしが行動的ということではなく、単にゴチャゴチャの巣から逃げ出したかったからなのかもしれません。
掃除は快適でした。
なんの掃除をしたかというと、年末の大掃除の前倒しです(早い?)。窓拭き、家具の後ろや桟のほこり取り、照明の笠の掃除。
あたりまえですが寒くないので、思っていた以上に楽でした。特に水をつかう拭き掃除は、手がかじかみ息が白くなる12月ではなく、8月がおすすめです。濡れた跡は強い日差しですぐ乾くし、窓を全開にしても風邪をひく心配がありません。
換気扇をきれいにし、庭の草むしりをし。2人でちまちま仲良く掃除をしました。
連日インドアでさすがに飽きたので、休みの後半は、近所の映画館で映画を見たり、古本屋を回ってマンガを大人買いしたりしました。コンビニでハーゲンダッツの新作を見つけたり(ソルティバタービスケット、美味でした!)。
最終日は、飲み屋でまったりと日本酒で乾杯。
なかなかこぢんまりと幸せな連休でした。
JUGEMテーマ:家事・掃除・片付けがんばろう〜♪
掃除ブーム
2010.09.01 Wednesday
6、7月は片づけに凝っていました。
自分の掃除嫌いを克服しようと、評判になっていた2冊――『ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門』カレン・キングストン著(小学館文庫)、『3日で運がよくなる「そうじ力」』舛田光洋著(王様文庫)を読んでいたら、いきなりその気に。
「そうだ、掃除をしよう」
毎日ブツブツと、
「古いモノを捨てなければ、新しいものが入ってこない」
「汚い部屋は運気が悪い」
などと唱えながら、どんどん捨てていきました。
床が見えてくると、それまでまたいだり、よけて蛇行したりして障害物競走のようだった部屋も、居心地がよくなってきました。わお、まっすぐ歩ける! 体を曲げずに横になれる!
おもしろくなってきたので、実家まで足をのばしてゴミ袋10個分も処分したら、母にとても嫌がられました(笑)。
消費ブームの落とし子であるわたし。モノがあれば豊かな生活もできるし、幸せです。安心感があります。
が、ありすぎると今度は、家の中がごたごたと圧迫感がでてくる。なんだか息苦しくなってくるんですね。
家族が快適にすごすためにも、たまにモノを見直すのは大切だなと思いました。
さて、現在のわが家は、ほどほどの乱雑さを保っています。
いや、たしかに以前よりはきれいになりましたよ。
だって今日も、体をまっすぐ仰向け(あるいは腹ばい)にして、読書ができていますから。
自分の掃除嫌いを克服しようと、評判になっていた2冊――『ガラクタ捨てれば自分が見える―風水整理術入門』カレン・キングストン著(小学館文庫)、『3日で運がよくなる「そうじ力」』舛田光洋著(王様文庫)を読んでいたら、いきなりその気に。
「そうだ、掃除をしよう」
毎日ブツブツと、
「古いモノを捨てなければ、新しいものが入ってこない」
「汚い部屋は運気が悪い」
などと唱えながら、どんどん捨てていきました。
床が見えてくると、それまでまたいだり、よけて蛇行したりして障害物競走のようだった部屋も、居心地がよくなってきました。わお、まっすぐ歩ける! 体を曲げずに横になれる!
おもしろくなってきたので、実家まで足をのばしてゴミ袋10個分も処分したら、母にとても嫌がられました(笑)。
消費ブームの落とし子であるわたし。モノがあれば豊かな生活もできるし、幸せです。安心感があります。
が、ありすぎると今度は、家の中がごたごたと圧迫感がでてくる。なんだか息苦しくなってくるんですね。
家族が快適にすごすためにも、たまにモノを見直すのは大切だなと思いました。
さて、現在のわが家は、ほどほどの乱雑さを保っています。
いや、たしかに以前よりはきれいになりましたよ。
だって今日も、体をまっすぐ仰向け(あるいは腹ばい)にして、読書ができていますから。
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JUGEMテーマ:風水
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